相続ははじめてで何から始めたらいいかわからない。
相続とは、人が亡くなった時に、お亡くなりになられた方のすべての権利、義務、法的地位などを特定の人(推定相続人)が原則引き継ぐことを言います。
相続に関する手続きはたくさんあります。中には専門的な手続きにもかかわらず期限が決められているものもあり、期限内に手続きをしなければ不利益を被ることがあります。安心して手続きする為には専門知識をもって早くから問題点を把握する必要があります。
相続に関する手続きの一つである相続登記(所有権移転登記)は、不動産を相続で譲り受ける場合にお亡くなりになられた方の登記名義を相続人に変更する手続きの事をいいます。相続登記には登記をしなければならない期限はありませんが、そのまま相続登記を放置しますと、後日更に次の相続が発生して権利関係が複雑になり、争いが発生し、最終的には空き地・空き家等の社会問題を発生させる原因にもなります。
相続登記を行うには(相続手続き全般に言えることです)、相続人の戸籍謄本やお亡くなりになられた方の出生から死亡時までの除籍謄本などを収集しなければいけませんが、この作業に数ヶ月かかることもあります。場合によっては市区町村長役場にて書類の保管期間が満了していることにより必要書類を入手できないこともあります。
相続が開始したときは、登記の専門家である司法書士に依頼して、迅速に相続登記を完了することをおすすめ致します。
相続に関する基本的な手続きの流れは下記の通りです。
1、相続人の特定
お亡くなりになられた方の相続人を特定するために、戸籍調査を行う必要があります。
2、遺言書の有無の確認
お亡くなりになられた方が適法な遺言書を作成されていた場合、遺言による相続が法定相続よりも優先されます。
3、相続財産の特定
相続財産には、大きく分けて「現金」「預貯金」「不動産」「株式」「自動車」等のプラス財産と、「借金」「法的義務」等のマイナス財産があります。お亡くなりになられた方の名義になっている財産は、原則、プラスとマイナスを含めたすべての財産が相続の対象になります。
金融機関と取引があった場合には、預貯金については通帳記入(記帳)をしておき、お亡くなりになられた方の死亡時までの残高証明を各金融機関に請求しておくといいでしょう。
不動産については、納税通知書、名寄帳(同一の所有者が有している不動産の一覧表のようなもの)、登記済権利書等によりお亡くなりになられた方の名義の不動産を確認します。お亡くなりになられた方が公開されている株式等の有価証券を有している場合は、証券会社にお問い合わせをしてください。
金融機関等からの借り入れがある場合には、その残金の返済義務は、原則その相続人に承継されますので、金融機関に現状を確認する必要があります。
4、遺産分割
相続財産があり相続人が複数いる場合は、お亡くなりになられた方の財産を相続人の間でどのように分割して相続するかを決めます。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議を行った結果、財産を相続する内容が決まったら、遺産分割協議書を作成して、相続人全員の署名、捺印(実印)をし、印鑑証明書を添付します。
なお、お亡くなりになられた方が有効な遺言書を作成していた場合や、法定相続分に従って相続する場合には、遺産分割協議をする必要はありません。
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5、名義変更(相続登記)
相続財産のなかに登記された土地・建物がある場合は、所有権移転の登記を申請して名義変更をします。
相続登記に関するよくあるご質問
- 名義変更(相続登記)は必ずしなければならないのでしょうか。
- 相続登記をしなかったからといって、登記をする期限がないので罰金を取られたりすることはありません。但し、相続登記をせずに放っておくと手続きが複雑化し、次の相続が開始して相続人が増え、権利関係が複雑化することがありますので、早めに手続きをすることをおすすめします。
- 相続人の中に行方不明者がいます。どうすればいいでしょうか。
- 行方不明者がいる場合、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行うことができます。不在者財産管理人は不在者の代わりに家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加することになります。司法書士は裁判所へ提出する書類を作成することを業務として認められていますので(司法書士法第3条1項4号)、不在者財産管理人選任申立書等を作成させていただくことにより、法的なサービスをさせていただきます。
- 相続人間での遺産分割協議がまとまりません。どうすればいいでしょうか。
- 話し合いで遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をすることが可能です。
司法書士は裁判所へ提出する書類を作成することを業務として認められていますので(司法書士法第3条1項4号)、調停申立書等を作成させていただくことにより、法的なサービスをさせていただきます。